監修:帝京大学医学部附属溝口病院 皮膚科教授 清 佳浩
赤ちゃんに多い皮膚トラブルのひとつ「湿疹」について、症状や原因、対処法などをわかりやすく解説します。
湿疹ってどんな症状?
色も形状も病気によってさまざま
一口に湿疹といっても、その症状はいろいろ。ブツブツしたもの、ジュクジュクしたもの、カサカサしたもの、赤みを帯びたもの、白い芯があるもの、かゆみがあるもの、痛みを伴うものetc. 病気によって、色も形状も広がり方も異なります。
赤ちゃんの場合、皮膚は薄くて敏感なのでトラブルを起こしやすく、ちょっとしたことで湿疹が出てしまいます。そのため、原因のよくわからない湿疹も少なくありません。 とかく赤ちゃんに湿疹ができると、「もしかしてアトピー性皮膚炎?」と心配しがちですが、低月齢の場合、その判断は難しく、しばらく様子をみないとわからないことが多いようです。
湿疹にはどんな種類があるの?
いろいろな種類があり、なかには自然治癒するものも
赤ちゃんによくみられる主な湿疹は以下のとおりです。
乳児湿疹
生後まもなくから1歳ぐらいまでの赤ちゃんの顔や体にできる湿疹の総称。カサカサしたもの、ジュクジュクしたもの、かゆみを伴うものなどいろいろ。赤ちゃんの湿疹の多くは、1歳を過ぎると自然に治っていくため、経過をみるための診断名として使われています。
赤ちゃんの肌は、大人と比べてデリケートなので、ちょっとしたことでも刺激になり、炎症を起こします。それゆえ、湿疹の原因はさまざまで、はっきりわからない場合もあります。 |
肌を清潔に保つことが一番。ベビーソープや低刺激性の石けんの泡でやさしく洗い、その後、ベビーローションやクリームで保湿をしましょう。洗いっぱなしのままでは、肌が乾燥して再びトラブルに。 |
乳児脂漏性湿疹
髪の生え際や眉毛、頭皮などにできる、クリーム色でかさぶた状の湿疹。フケのようにみえることも。かゆみや痛みはなく、生後まもなくから3か月頃までの低月齢の赤ちゃんにみられます。
低月齢の赤ちゃんの体には、母体のホルモンの影響が残っているため、皮脂の分泌が盛ん。とくに髪の生え際などは皮脂腺が多いため、それが汚れと混ざって固まり、かさぶたのようになるのです。 |
かさぶた状のものは無理にはがさないように。入浴前にベビーオイルやワセリン、オリーブ油などでふやかしてから、ベビーソープや低刺激性の石けんを使って洗うと、少しずつ落ちていきます。一度で取り切れないので、根気強くケアを。 |
接触皮膚炎
食べ物や化学物質などにかぶれて、肌が炎症を起こしたもの。原因となる物質に触れたところだけが赤くなったり、ブツブツができたりして、かゆみを伴います。アレルギーが関わっている場合もあります。
皮膚に触れたものが刺激となって炎症を起こします。赤ちゃんの場合、よだれや汗、おしっこ、食べかすなど、何でも原因になります。 |
かぶれた場所はきれいに洗い流して、炎症を抑える薬を塗りましょう。 |
新生児にきび
ほおや額など皮脂分泌の多い場所にできる、にきびのような湿疹。かゆみや痛みはなく、生後まもなくから3か月頃までの低月齢の赤ちゃんにみられます。
低月齢の赤ちゃんの体には、母体のホルモンの影響が残っているため、皮脂の分泌が盛ん。そのため、一時的に肌が脂っぽくなり、余分な皮脂が毛穴に詰まってしまい、炎症を起こすのです。 |
余分な皮脂を取り除くために、ベビーソープや低刺激性の石けんで洗って肌を清潔に保ちましょう。成長するに従い、皮脂の分泌が少なくなっていくので、スキンケアを丁寧にしていれば、自然に治る場合が多いです。 |
基本は肌を清潔に、スキンケアを徹底して
基本は肌を清潔に保つことが一番です。また、軽い湿疹や皮膚炎などの場合は、市販のお薬を上手に活用しましょう。
それでもよくならないときは、すみやかに皮膚科を受診してください。